ダイビングでつながる世界

ダイビングにまつわる危険なこと

ダイビングに関する危険なこと

ダイビングに関する危険事項に関しては学科講習で習うのだが、実際にファンダイビングを始めてしまうと、どれが危険な生物や状況なのだかすぐに判断できないことがある。
また、最近の海水温上昇に伴い、今までは日本本州近辺では見られない危険生物が北上している情報も多々報道されている。
ダイビングに赴く前に、もう一度講習のテキストを読み返し、危険回避をしっかりと思い出しておこう。

それは触っちゃダメの合図。ガイドの指示をきちんと守ろう

普段、本州で潜っていると、沖縄や海外で見慣れない危険生物に遭遇することが多々ある。

沖縄で潜った際、まだ経験本数の少ないダイバーと一緒だったのだが、オニダルマオコゼが岩と見分けがつかないように擬態していた。気づいたガイド氏が手を振って「触るな危険」のハンドサインをして指差した。

その瞬間、何を思ったのか、そのダイバーがオニダルマオコゼに手を伸ばしたのである!

こちらもびっくりだったが、ガイド氏の対応が素早かった。
思いっきりそのダイバーの手を跳ね除けたのだ。

手を伸ばした事も驚いたが、普段は陽気で楽しいガイド氏が、驚くほどの厳しさで手を跳ね除けたほうが更に驚いた。

手を伸ばしたダイバーは、チーム全員の「ダメ!」のハンドサインに囲まれることになったのだが、エキジット後に再びその話題になり、なぜ触ろうとしたのかを聞いてみた。
すると・・・。

ハンドサインの意味が分からない

「ハンドサインが『危険』だと分からなかった」
「指を差されたので、よく見たら魚だと気づいた。触ってみろと言われているのだと思った」
「あれがオニダルマオコゼだと分からなかった」
というのだ。

つまり、「オニダルマオコゼは危険」という認識はあり、写真で見たこともあるが、擬態する系統の生物は初心者なので見分けがつかず、ガイド氏が手を振ったため『触ってみて』と言われているのだと思った、というわけだ。

これにはもう一つ問題点がある。
そう、「海洋生物は触れずに観察すること」という大前提をまず忘れていたのだ。

触って楽しむ場合もあるので、つい忘れてしまいがち

危険な生物

普段の地元の海ならいざしらず、こうしたリゾートでのダイビングでは、珍しい海洋生物によく出会う。
特にサンゴ類やイソギンチャク類の中には、ガイドから実際に素手で触ってみろ、というサインが出ることもある。

フカフカした触り心地を楽しんだり、指に吸い付く感触を楽しんだりする訳だが、そもそもの大前提として「海洋生物には触らない」ことは基本なのだ。

また、危険な海洋生物は擬態するものが多く、学科のテキストに掲載されている写真だけで覚えてしまうと、上記のようなことになってしまうので、どんな場所に生息しているのか、擬態にはどんな種類があるのか、どこを見分ければいいのか、を確実に覚えておくことが重要なのだ。

実際に怒られました(涙)。ダウンカレントの怖さ

ダウンカレントの怖さ

日本国内ではそう出会うことは少ないが、海外のダイビングスポットでは、海流の穏やかな棚近辺で、少し離れた場所に群泳している大型回遊魚を観察することがよくある。

小学生の頃、理科の実験で、たらいの水をくるくる回して流れを作り、メダカを泳がせたことがある人も多いと思う。その実験通り、魚には「流れに逆らって泳ぐ」という習性がある。
大型回遊魚の場合、さらに急な流れの中を逆らって泳いでいるわけだ。

棚の上だからこそ流れが穏やかなのであり、棚から少しでも離れれば、棚にぶつかって海底に向かって流れ落ちるダウンカレントという急激な流れになる。
このダウンカレントに捕まってしまうと、どんな熟練のダイバーであれ、人力ではとても浮き上がることは不可能で、そのままなすすべもなく海底へと引きずり込まれるのだ。

これを実際にパラオでやらかしそうになってしまった。
群れに夢中になるあまり、少しずつ棚からはずれ気味になってしまったのだ。

途端、思いっきり襟首を捕まれて、棚に引き戻された。
もちろん、エキジット後に散々怒られたのは言うまでもない。

実際に、海外のダイビングショップには、壁の張り紙に大きく「LOST」と書かれ、”中身のない”ダイビング機材一式の写真が多く張り出されている。
それは、言うまでもなく、ダウンカレントに引きずり込まれたダイバーのその後の姿なのだ。

これからの時期、ダイビングはトップシーズンに入る。
くれぐれもガイドの指示はしっかりと守ろう。それが安全で楽しいダイビングにつながるのだ。

わく by
人呼んで「海と酒をこよなく愛する不良ダイバー」。インドア生活にピリオドを打つより早く、海のとりこになって早数年。ダイビング経験は国内外で200本強。ゴキゲンになると必ず水中大回転するのはお約束。機材を背負って1人旅もこなす、これでも一応「女性」ダイバーです。
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