初心者ダイバーがなかなか取得できないダイビング技術の中で、大切な技術がある。
それが、中性浮力である。
では、なぜ中性浮力がいかに大切かをダイビングインストラクターは口酸っぱく言うのだろうか?その理由がわかれば、あなたもダイビングをより楽しめるようになるであろう。
中性浮力がうまく取れないと、脚をバタつかせてバランスを取ろうと必死になる。この脚のバタつきで、実はかなりの体力を消耗してしまう。
また、バランスを崩してタンクが海底に着いて、カメが起き上がれなくなってしまったような状態になって、インストラクターに助けてもらう。そんな経験が記憶に新しい初心者ダイバーもいらっしゃるかもしれない。
このような状態になると、精神的にもストレスとなり、疲れがドッときて、2ダイブ目が憂鬱になる。せっかくリゾートに遊びにきているのに本末転倒だろう。
中性浮力をしっかり取ることで、精神的ストレスもなく疲れが少ないダイビングが可能だ。
つまり、中性浮力がうまくいかない初心者ダイバーのタンクエアー消費が早い理由はすでにお分かりだろう。この精神的ストレスと体力の消耗によってエアーの消費がベテランダイバーと比べると倍も変わることも少なくない。
沖縄や海外などのリゾートでのダイビングは、通常の国内ダイビングツアーと比べると40分から1時間と長くなることも多い。
中性浮力が上手になると、エアーの消費も少なくゆったりとしたダイビングを楽しむことが可能だ。
中性浮力がうまく取れないと、脚をバタつかせて泳ぐことになり、沖縄のような真っ白な海底で砂を巻き上げて泳ぐことになる。
想像してみてみると、どうだろう。水中写真も台無しである。
タツノオトシゴなどは、一発で吹き飛んでしまうだろう。また、沖縄などは一面サンゴの海底なんてこともよくある。サンゴを蹴散らしてしまうこともある。
また、水中ツアーは、バディとともに他のお客さんが後ろにいることも多い。砂を巻き上げて前を見失ってしまうなんてこともあるから注意が必要だ。
中性浮力が上手に取れれば、真っ白な海底の上にポンと浮いたお洒落な写真撮影も可能だ。もちろん、大切な水中生物やサンゴを守るためにも中性浮力の上達は必須だ。
沖縄や海外ダイビングでは、ボートを使ってのドリフトダイビングが主流だ。ドリフトダイビングは、潮の流れに乗ってダイビングするものだが、エキサイティングかつ大物(マンタ、バラクーダー、ナポレオンフィッシュなど)を見るには、最高のダイビングだ。
このドリフトダイビングをするには、中性浮力の上達は不可欠だ。この中性浮力がしっかりできていないと、潮の流れで水面の方に吹き上がってしまう。
中性浮力の上達が、あなたのダイビングをよりアグレッシブかつエキサイティングなものにしてくれることだろう。
深~いブルーの海底に続くその断崖絶壁には、スリリングかつエキサイティングなダイビングが待っている。潮が断崖にあたって大物の魚が集まってくる。また、その対象でドロップオフの上の棚には、トロピカルな魚達が舞う。
そんな素敵なドロップオフダイビングを100%楽しむには、やはり中性浮力がとても重要なスキルになってくる。
中性浮力がしっかりと取れていなければ、深いブルーの海底へと引き込まれてしまう可能性もある。また、ドロップオフの棚の上は、潮の流れがあることも多い。
初心者のうちから、中性浮力をしっかり意識しながらひとつひとつのダイビングを大事にしてほしい。意識することで上達のスピードも変わってくる。
沖縄や海外ダイビングを楽しむには、この中性浮力がいかに重要かわかっていただけただろうか。中性浮力をしっかりマスターすることで、ダイビングの幅が広がりあなたのダイビング人生をより豊かなものにしてくれるはずだ。
次回は、この中性浮力をマスターするコツを伝授する。