日本のリゾートといえば沖縄と答える人は多いだろう。沖縄は本島の他にたくさんの離島があり、そのほとんどの島でダイビングができる格好のダイビングスポットだ。西表島や慶良間諸島などはダイビングをしない人も知っていると思う。
沖縄の海はとにかく綺麗だ。ハワイなど海外の海よりも透明度が高いという人もいる。色とりどりの生物や珊瑚礁は海外のリゾートにも引けを取らない。今回は慶良間諸島よりも遠い外海にある、渡名喜島付近でのダイビング体験を書いていこうと思う。
天気のいいダイビング日和のこの日は、近海でボートダイビングの予定だったのだが、船長の「天気が良いから渡名喜島に行こう」という提案で渡名喜島まで行くことになった。渡名喜島なんて初めて聞いたので、一体どこなのか見当が付かなかったが、滅多に行けない場所だと聞いて、それはそれは楽しみにしていた。しかし、その楽しみは次第に不安に変わった。
渡名喜島は慶良間諸島よりも遠く、波の荒い太平洋を進んでたどり着く島で、沖縄本島から毎日船が往来するものの、いかんせん波が荒れやすく、しばしば欠航になるそうだ。出航してから1時間以上は揺られていたと思う。とにかく波が荒くて、何かに捉まっていないと座っているのも大変なくらいだった。船に酔って倒れた人もいたほどだ。こんな思いをしてまで行くなら断れば良かったと正直後悔していた。
しかし、その後悔も吹き飛ぶくらいの光景を目にした。空と海の青さが眩しい光景、島の緑と砂浜のコントラスト、なんとも綺麗な場所にたどり着いたのだ。そのまま島には着岸せず、ポイントまで進んでいった。
私は航行でフラフラだったが、不思議なもので、海の中に入ってしまえばそんな気分も治まってしまう。潜ってしまえば海の中は結構穏やかなので、むしろ安心すら覚える。よくダイビングする前に波に揺られて酔ってしまう人がいるが、潜ってしまえば何とかなるものだ。
1本目は島尻崎ホールというポイントを潜った。とにかく海が綺麗、透明度が抜群に良い。色とりどりの魚群、砂浜のような海底、言葉では表せないなんともいえない幻想的な風景を見て、苦労して来た甲斐があったと心底思った。
2本目はアンジェラ口というポイントで潜ったのだが、そこで、滅多に見られないというアカウミガメと遭遇した。ほんの数秒の出来事であったが、アカウミガメと泳ぐことができたのは、人生でも5本の指に入る感動体験だった。
帰りの航行も比較的揺れたが、疲れ果てて眠ってしまい、気がついたら本島に到着していた。
大変な思いをしたけれど、それ以上の感動も体験した、素晴らしい一日だった。
沖縄は本島にも真栄田岬ビーチなどの、透明度が高く生物がたくさんいる絶好のダイビングスポットがある。しかし、沖縄に行ったなら是非とも離島に行ってみて欲しい。あまり開発が進んでいない分、海も綺麗だし自然の岩場はとても芸術的だ。イソギンチャクに隠れたクマノミなど、熱帯魚もたくさんいる。海の楽園とはこういうところなんだと思わせてくれる。
ダイビングは海外でしかしないという人も多いし、実際に数々のリゾートでダイビングできるスポットはある。しかし私はそんなリゾートよりも沖縄をお勧めしたい。そして、余裕があったら是非離島の海で感動を味わって欲しいと思う。
「日本人はこんなに綺麗な海があるのになぜ海外に行くのか」と不思議に思っている外国人が大勢いるそうだ。世界中の人に愛される、世界に自慢できる海、それが沖縄の海だ。
日本の海はいいぞ、日本語が通じるし。