ドリフトダイビングで、最初から潮の流れに乗ってダイビングする予定であれば問題ないが、時として予想していない潮が発生してトラブルに巻き込まれる可能性がある。万が一、予想しなかった潮に捕まってしまったときの対処法について、お話していきたいと思う。
オープンウォーターダイバーコースのときに習ったとは思うが、潮の流れの種類について復習しよう。
波が岸に寄せ続けていると、次第に沿岸に平行な潮流が発生することになる。みなさんも海水浴のときに経験はないだろうか。海水浴に夢中になっていて、最初居た場所とは違う場所に流された経験。これがまさにロングショアカレントと呼ばれているものだ。日本語では沿岸流と呼ばれている潮流の一種だ。
そういえば2年程前にロングショアカレントと思わしき流れに掴まって約1キロの距離をドリフトした。到着地点が予想できたから良かったけど海底の景色のうつり変わりが早いしショートフィンだしちょっと怖かった。遠浅でよく起るらしい。
— イーグン (@Egun_fishing) 2017年5月6日
比較的ゆっくりの流れではあるが、いつの間にか知らないうちに流されているのが、このロングショアカレントだ。
口に水を含んで、ストローから水をふっと吹き出すと勢い良くストローの先端から水が吹き出すと思う。リップカレントは、この原理で起こる潮流の一種だ。サンゴ礁とサンゴ礁に挟まれた場所や岩と岩の間は、このストローから飛び出す水の流れのように潮の流れが速い。サンゴ礁や岩の上を乗り越えてきた波が、一気にこの狭い間から沖へと流れ出す。
私も以前、ダイブマスターだった頃に彼女とバディダイビングしたときに、このリップカレントに捕まって沖へと流された経験がある。自力でビーチまでたどり着けたので、今、無事にこの記事を書かせていただいている。
日本語では、離岸流と呼ばれている潮流の一種だ。
ドロップオフダイビングやドリフトダイビングをしていて、深い水深の方に引っ張られるような潮の流れをダウンカレントと読んでいる。このダウンカレントは、中性浮力が上手に取れないダイバーが、知らず知らずのうちにどんどん水深の深い方へと引きずり込まれるので、非常に危険だ。
はっと気付いたときにその水深計をみて、パニックを起こすこともある。
アップカレントは、文字の通りダウンカレントの反対で、日本語でいうと吹上の潮という表現を使う。ドリフトダイビングやドロップオフダイビングをしていて、壁の縁にいる間はいいが、一旦、棚の上に上がってしまうと一気に体を持っていかれることがある。
パラオでもこのアップカレントは良くある潮の流れだ。
岩やドロップオフの岩陰などに捕まるなどして、一旦、考える時間を自分に与えることを考えよう。考える時間があれば、冷静になることもできる。一番危険なことは、パニックになることなので、とにかく一旦、冷静になろう。
自分の泳力を過信して、潮に向かうほど無謀なことはない。ではどうしたら良いのか。それは、潮の流れに対して直角に泳ぎ、潮の流れから逃れることを考えよう。リップカレントのような水路に流れるような潮の場合は、水路の脇にそれて潮の流れを回避しよう。
グローブをしていてば、岩を掴みながら潮の中を移動することもできる。また、カレントフックなどを上手に使って、体力を消耗しないようにしよう。
海底が砂地の場合は、ダイビングナイフなどを突き刺しながら、進むこともできる。
常に、このような潮の流れも想定して、ダイビングの小道具を準備しておきたい。
潮の流れをやり過ごすこともできず、タンクの空気の残量も残り少なくなってしまった場合は、水面に浮上することも考えなくてはいけない。なぜ、水面への浮上が最終手段かというと、潮の流れのある場合は、海上も流れがあることが多いからだ。陸がすぐ近くにあれば、水面移動も可能だと思うが、そうでない場合は、シグナルフロートなどを上げて救助を待とう。
潮の流れにつかまった時の対処方法について、お話してきたがいかがだったろうか。潮の流れは、自然現象なので完璧に予知することは不可能だ。
そのため、いつでも潮の流れに対応できる心構えとスキル、小道具をいつでも準備してダイビングを楽しんでほしい。