デジタルカメラの進化により、より一層人気が出てきたダイビングフォト。
ハウジングもよりコンパクトで操作性が良く、安価になってきた上、スマホの普及と同じように、水中でも素敵な写真を取りたいと思うダイバーが増えてきた。
お手軽フォト派はかなりの数になってきたが、こだわりのフォト派は一定数存在する。
そんな本格フォト派に必要なのは、自分好みの被写体を見つけてくれるバディなのだ!
初心者という時期を過ぎ、本数も100本近くになった頃から、よくフォト派ダイバーとバディを組まされるようになった。また、フォト派の方からもバディを依頼されるようになった。
というのも、本格派フォト派は、つい撮影に夢中になってしまうために、うっかりチームの移動タイミングを逃し、迷子になってしまう確率が高いからだ。
かなり本数をこなしているフォト派の方ならともかく、まだまだダイビング自体に慣れていないフォト派ほどこの傾向が高い。
実際にトップシーズンのリゾートで、同じチームのフォト派ダイバーが、まったく別のチームに付いていってしまい迷子になった、ということがあった。
幸いにすぐに先方のガイドとこちらのガイドが気づき、無事合流して笑い話になったのだが、こうした事故を防ぐためにも、フォト派には信頼できるバディが重要になってくる。
フォト派はぎりぎりまで粘って良いアングルを探しているので、チームと離れすぎないタイミングをバディが見極めることが大切だ。そのため、フォト派とそのバディは、自分たちが迷子にならないよう、チームの進行方向が排気の泡でも見極められる事と、離れたチームに追いつけるだけのスキルが必要になってくる。
リゾートなどでの水中撮影の場合、単独でチームに加わる場合には、ほとんどガイドがバディを勤めてくれる場合が多い。そんな時は安心できるのだが、突然フォト派とバディを組まされた場合、戸惑うことが多いかもしれない。
しかし、ガイドは各個人のスキルを的確に判断している。そのため、この人ならフォト派ダイバーのバディが勤められるスキルがある、と認めてもらえた、とプラスに考えよう。
その際には、そのバディがどのような被写体を好んでいるのか、何を撮影したいのか、などをエントリー前に聞くのがポイント。
ワイドという全体を撮影することを好むフォト派の場合は特に問題はないが、マクロ派の小さな被写体を宝石のように撮影したいフォト派の場合は、特にこの点を聞くことが大切だ。
マクロ派の場合は光の方向や影も非常に大切な要素になるため、撮影中は邪魔にならないよう、やや離れたところでバディのそばにいながら、自分たちのチームの移動を確認するようにしよう。
時間があれば、近くにあるバディ好みの被写体を探すと、より喜ばれる。
私も一時はフォト派デビューをし、簡単な水中カメラで撮影をしていたのだが、ついつい写真に夢中になって、水中世界全体を見ていないことに気づいて止めてしまった。
特にリゾートで潜る際には1本1本がとても貴重な経験で、全体像を見ないのはもったいないと思ってしまったからだ。
とはいえ、その光景を記録として残したいと考えるのは誰もが同じだと思う。
その点、フォト派ダイバーとバディになると、自分の代わりにその光景を撮影してもらえるので、これほどありがたい事はない。
「あ!このウミウシ可愛い!」と思ったら、すぐにバディに撮影してもらえばいよいし、フォト派ダイバーも、今撮影している周囲に、良い被写体をすぐ見つけてくれるバディがいるのはとても嬉しいのだ。
そうしてお互いのコミュニケーションができると、水中での自分の写真も撮影してもらえるし、エキジット後のごきげんな顔も撮影してもらえるという嬉しいおまけもついてくる。
最近は記憶媒体も進化しているので、ケーブル1本あれば自分のスマートフォンなどにすぐにデータをもらうことだってできる。また、アドレスを交換して、後でメールでもらうこともできるのだ。
ダイバーの中にはフォト派のバディは面倒という人もいるが、私はこうしてお互いがWin-Winの関係になれるフォト派ダイバーとのバディがとても好きだ。自分は撮影しなくても、素敵な写真をもらえる可能性が高いフォト派ダイバーとのバディは、ダイバー仲間を増やすためにのオススメ方法の一つだ。