ダイビングでつながる世界

脱・初心者ダイバー!中性浮力編

中性浮力

ダイビングと言えば、トロピカルな魚達との出会い、ダイナミックな群れとの遭遇、真っ暗な洞窟の先に突如開ける光のスポットライト、写真派ダイバーを魅了するマクロ生物、大物狙いのマンタやジンベエザメなど。数多くいるダイバーを夢中にさせ、無重力の世界を自由に泳ぎ回る事を想像するだろう。この無重力を作り出すスキルが中性浮力と呼ばれるものだ。

そもそも中性浮力とは?

中性浮力とは、ただ単にBCDに空気を入れるだけのスキルではない!使用するスーツ、ウェイト、タンクなどの器材類と、水深、流れなどの環境と、自身のコンディションやメンタルなど、ダイビングする際のあらゆる事を考える必要がある。この考えるという事は、経験を積む事で身体に、自然と身についてくる=スキルなのである。
それじゃあ、初心者はどうすればいいの?と思われるので、中性浮力を簡単にするポイントを4つ紹介しよう。

1.適正ウェイト

講習中は水底にどっしりと構えて、インストラクターのデモンストレーションを見て、落ち着いて講習して欲しいので、恐らくやや重めのオーバーウェイト状態で潜る事が多いと思う。
そもそも適正ウェイトとは、水面でBCDの空気を抜いて直立姿勢の状態で通常の呼吸をして、水面の高さが目から口元あたりにくる状態で、肺の中を空気を大きく吐き出すと、少しずつ潜降していくという状態のウェイトの事である。
適正ウェイトで潜る事で、ウェイトベルトの重りを減らし、BCDへの空気も少なくてすむ。そうする事で楽に水中で動きやすくするのだ。

2.BCDの操作

BCDへ空気を入れたり、抜いたりする事はとても大事な事である。学科講習でも教わったと思うが、空気は水圧の影響を大きく受ける。深く潜るほど、水圧が大きくなり、空気は小さくなる。この収縮した分の空気を再度入れ直す必要がある。逆に、浮上する際は、水圧が小さくなり、空気が元に戻ろうと大きくなる。空気が大きくなると、BCDが膨らみ、浮上速度が速くなる。この浮上速度が速くならない様に、BCDの空気を抜く必要がある。この様な操作を、泳ぐ水深に合せて操作する。入れる際は、ボタン1つで入るので誰でも出来るが、空気を抜く際には少しコツがいる。それは、空気を抜く場所(インフレーター)を、泳いでる姿勢の中で肩口よりも高くしないと、空気が上手く抜けないのだ。特に初心者ダイバーに多いのが、空気を抜こうとしても、肩口より低い位置で操作してるため、一向に抜けずにそのまま水面に浮上するダイバーが多い。特に水深を取るダイビングの時には、気をつけて潜る様にしよう。

3.泳ぐ姿勢

中性浮力の中で1番重要なのが、泳ぐ姿勢だ。ベテランダイバーの泳ぐ姿勢はしなやかで、頭からフィン先までが同じ水深を保っている。一方、初心者ダイバーは、頭や上半身が起き上がり、フィンの蹴り方(フィンワーク)が下に蹴るようなダイバーが多い。この様な立ち泳ぎに近い姿勢で泳ぐと水面に向かって泳いでるのと変わらないのですぐに浮き気味になる。無意識のうちにこの様な姿勢になるので、自身が思ってる以上に、逆立ちするぐらいの気持ちで頭を下げるぐらいが、意外にもちょうどいい具合だったりすることがあるので、最初は意識して泳いでみよう!

4.呼吸の調整

最後のコツは、呼吸の調整(トリミング)と呼ばれるものだ。適正ウェイトの項目でも触れたが、肺の中の空気を吐き出せば身体は沈み、空気を吸えば浮く。ただし、この浮き沈みには時間差がある。吐いた瞬間から沈むのではなく、吸った瞬間から浮くのではない。吐いて暫くしてから沈み出し、吸って暫くしてから浮き始める。呼吸の調整をするだけで一定の水深を保つ事ができる。逆に言うと、BCDの操作をしなくとも、呼吸の調整だけである程度の水深の変化はカバーできるということである。

中性浮力を極めよう

中性浮力を習得するのは、初級ライセンスの海洋実習だけでは難しい場合もある。そこで諦めるのではなく、ステップアップしたり、ブランクを空けずに潜り続けて、身体に染み込ませることで、空気消費量が抑えられ、水中での活動時間が長くなるので、素晴らしい水中の世界の虜になって欲しい。

Kamimura by
1982年生まれ。Kamimura家次男坊。既婚。 現在、平日はドッグトレーナー。休日はダイビングインストラクター。として活動。近い将来、夫婦で南の島へ移住計画中。終の住処は沖永良部の予定。ダイビングはもちろんSUPやヨガなども取り入れたライフワークを目指す。 Instagram ID:makanadive4291
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