タイビングのインストラクションやガイドをしていると、このお客さん、あんなに水を怖がっていたのに、ダイビングが上手になった、もう初級者卒業だなって思うことがある。では、具体的にどれくらい上達すると、初級者卒業と言われるようになるのだろうか。その目安についてお話したいと思う。
器材セッティングやエントリーエキジットの際に、自分だけのことであたふたしているのではなく、バディのアシストができるかどうかだ。
自分の器材セッテイングは早々に終わりにして、バディの器材セッテイングをフォローしてあげるくらいでなければならないと思う。
潜降のときも耳が抜けないバディに対して、自分だけ一人先に潜降してしまうのではなく、バディにアイコンタクトをして安心感を与えるくらいであってほしい。
これは、中性浮力が上手に取れるのは当たり前で、潮の流れなどを体で感じて思い通りにバランスが取れなくてはいけない。
フィンの上手な使い方は、できるだろうか。フィンは、ただ水中移動するためだけの道具ではないことが理解できていなければ、初級者ダイバー卒業証書はもらえない。フィンで抵抗を作って、上手にバランスを整え方向転換できるだろうか。
初級者ダイバーを卒業するには、ストレスを軽減できるように自分自身をコントロールできなくてはいけない。マスクに多少水が入ってきても気にしないぐらいのレベルであってほしい。
また、ボートダイビングのとき、器材セッテイングも早々に港を出港することが多い。そんなときでも、こころにゆとりはあるだろうか。そのような状況でもストレスをコントロールできなくてはいけない。
エントリーエキジットの際に、例えば、ゴロタのビーチで転んでも動じないくらいの精神状態でいてほしい。
オープンウォーターダイバーコースの講習のようなビーチエントリーだけでなく、ボートダイビング、ドリフトダイビング、ドロップオフダイビング、ディープダイビング、ナイトダイビングなど様々な状況下でのダイビングを経験しているだろうか。
色々なダイビングを経験することにより、そのダイビング特有のストレスにも対応できるようになっておきたい。
そうやって、色々なタイプのダイビングを経験していると、自ずとダイビング本数も100本に近づいているか超えていることだろう。
ただ、気をつけてほしいのは、ダイビング本数が100本を超えてくると、慢心もでてきてトラブルに巻き込まれるダイバーも少なくないので、注意してほしい。
これは、ベテランダイバーと言われているダイバーにも再度、心に止めてほしいのだが、スキューバダイビングは自然の中でするレジャー・スポーツであるため、自然環境に思いやりのあるダイバーであってほしい。
水中の生物やサンゴなどを傷つけることのないようダイビングをしてほしい。
これもよく見る光景なのだが、水中写真を楽しんでいるベテランダイバーがバディそっちのけで、大物を追っかけまわしている光景を目にすることがある。
バディに対しても自然に対しても、思いやりのあるダイバーが、初級者ダイバーを卒業できる資格があると思う。
初級者ダイバーを卒業するために必要な条件について、色々お話してきたが、いかがだったろうか。
初級者ダイバーを卒業できると、かなりダイビングについての知識やスキルが向上していると思う。ダイビングは、上達すればするほどストレスもなくなりダイビングの幅も広がり、より楽しむことが可能となる。
ぜひとも、あなたも初級者ダイバーを卒業して、素晴らしいダイビング人生を歩んでほしい。