私もダイビングショップで働いていたからわかるが、冬になると日本開催のダイビングツアーにはなかなか人が集まらないことがある。「いやー、冬の海は寒くて」と冬のダイビングは敬遠されがちだ。今日は、冬のダイビングのメリットを話していきたいと思う。
まずは、冬のダイビングが敬遠される理由について少し考えてみよう。
実は、私も寒いのは苦手の方だ。できれば、冬は温泉に浸かってユルユルと過ごしたい口だ。しかし、そんな冬のダイビングが敬遠される理由をふっ飛ばすほど、冬の海でのダイビングは魅力的だ。
首都圏からも日帰りエリアでもある伊豆の冬の海況は、12月にもなると徐々に水温は20℃を切り始め、2月から3月前半がもっとも水温が下がり13℃前後になることもある。冬は台風などがないため、低気圧の影響を受けなければ静かな海であることが多い。
海の水温は、気温に比べればずっと温かい。日本海岸は、冬は海が荒れやすいので注意が必要だ。
沖縄は、真冬でも20℃を下回ることがないので、やっぱり冬のダイビングはダメと言う人にもいいかもしれない。
何と言っても、冬のダイビングはオフシーズンであるメリットを享受できることだ。海への渋滞もなければ、ダイビングポイントも人はまばら。エントリーポイントで大渋滞なんてこともない。
ダイビングツアーでも少人数となることも多いので、ガイドやインストラクターを独占できるので、スキルのことや海のことなどどんどん聞いてみよう。時間に余裕もあるので、ダイビング中にスキルチェックなどを頼んでもいいかもしれない。
冬の沖縄ツアーなどは、航空券などもトップシーズンに比べれば安くなり、お得にダイビングすることも可能だ。
宿もオフシーズンなので、夕食に別途、刺し身のサービスなどが振る舞われることもある。この冬の時期は、至れり尽くせりになることが多い。
伊豆に関して言えば、冬の海は、夏の海に比べて透明度が高い。夏は、5m~6mしか見えないダイビングポイントでも冬には15m~20mというときもある。
冬の日差しに包まれながら、透明度の高い海でダイビングするのはとても気分がいいものだ。夏のダイビングと違って、ダイビング中の排気音も静寂に包まれた冬の海の中では、よりクリアに聞こえるのは気のせいだろうか。
沖縄は、海況が安定していれば、通年20m~30mの透明度はある。沖縄は、逆に日差しが強い夏のほうが透明度は良いかもしれない。
マクロ派のカメラマンが狙っているのは、もともと寒冷な地域で生息するダンゴウオだ。冬になると伊豆や三浦半島などで見ることが可能だ。ダンゴウオは、とても愛くるしい格好をしているので、冬のアイドルとして君臨している。
深い海として知られる相模湾では、水温が下がってくると冬の風物詩でもあるキアンコウが浅瀬に上がってくることもある。キアンコウが、大きな口を開けた瞬間をカメラに収めようと、みなが冬の海でシャッターチャンスを伺っている。
冬のダイビングは、未知との遭遇なのだ。夏のように魚影が濃いというわけではないが、じっくりと冬でしか出会えない生物にみなワクワクする。
海でも四季を感じることができるのも、日本の海でダイビングする醍醐味の一つだろう。日本の四季は世界的にも素晴らしいと言われている。日本に住んでいて、冬の海に潜らず、海の四季を語れないなんてなんともったいない。
そして、伊豆あたりだと何と言ってもダイビング後の温泉が楽しみだ。冬のダイビングは、楽しみがいくつもあるのが魅力だ。
ぜひ、あなたも日本の冬の海を体感すれば、ダイビングをより深く楽しむことが出来ることだろうと思う。