晴れてダイバーとなったみなさんは、バディダイビングをしない限りコンパスを使用する機会には恵まれていないのではないだろうか。ほぼほぼレギュレーターとセットのお飾りになっている人が多いはずだ。今日は、コンパスの使い方や上達のコツをお伝えしていこうと思う。
私たちインストラクターやガイドが、コンパスをメインで使用してのナビゲーションをすることはほとんどない。ナチュラルナビゲーションの補佐として使用することが多い。ただ、水中の透明度が極端に悪い場合(透明度2~3m)や、まだ潜ったことのないダイビングポイントを潜る場合などにはコンパスナビゲーションが威力を発揮する。
また、ナチュラルナビゲーションがまだ慣れていない場合は、ナチュラルナビゲーションを仕上げる過程で指針となるのが、このコンパスナビゲーションだ。
決して、レギュレーターに付属する飾りではないので、ご注意いただきたい。
これは、簡単なようで実はほとんどの人ができていないのが実情だ。コンパスは、体の中心(頭の中心とおへそを結んだ線上)で、しかも胸元あたりで保持する必要がある。また、コンパスの方角を確認するのは、コンパスの真上からではなく、サイドリーディング(コンパス側面の小窓)から方角を確認し、尚且つその方角に目標物を見つけながら方角がぶれないようにすることが必要だ。
簡単なようでこれができない理由は、まだダイビングに慣れていない時期だと中性浮力が正確に掴めていないために体が左右にブレるため、コンパスを中心に保持することが難しいためだ。
この水中でのコンパスによる往復ナビゲーションについては、オープンウォーターダイバーコースで習得しているはずの基本スキルだが、とても重要なので何度も実践することをおすすめする。
この往復ナビゲーションで重要なのは、往復することが大切なのではなく、直線的にコンパスを使ってナビゲートできるかが一番重要だ。
アドバンスドダイバーコースのナビゲーションでは、四角形や三角形を練習してきたと思うが、これらも水中を四角形や三角形でコンパスナビゲーションをしながらダイビングするためではなく、直線ナビゲーションを色々なパターンで習得しているに過ぎない。
この直線ナビゲーションを行う際には、コンパスに目をやる際には必ずコンパスの先を見据えながらフィンキックを行うことが重要だ。
コンパスナビゲーションを上達させるのは、とにかく陸上でのシュミレーションを何度も繰り返すことが大切だ。講習でなければいくらでも時間をかけられるので、三角形でも四角形でも様々なパターンをシュミレーションしよう。
水中でコンパスナビゲーションをする際でも、常にナチュラルナビゲーションを頭に入れながら、実践すると上達が早い。コンパスの先に常に目標物を定めながら、コンパスの先に目をやることによって、方角がずれにくくなる。
コンパスは、まっすぐ進む道具としてあるものだと認識することが大切だ。コンパスを使って複雑なナビゲートを考えてしまうとほとんどうまくナビゲーションできない。目的の場所の線上に障害物が合った場合は、単純なコンパスによる直角(90°)ナビゲーションを使い目的の場所の線上に戻ることも可能だ。
コンパスナビゲーションは、ナチュラルナビゲーションを仕上げるための指標にもなるため、とても大切なスキルだ。
自分のホームグランドであるダイビングポイントを何度も繰り返し、コンパスナビゲーションをすることで上達も早くなる。
コンパスをレギュレーターの飾りにだけしておくのはもったいない。ぜひとも、活躍の場を与えてほしい。