ダイビングでつながる世界

サイパン島のグロット~潜り方編~

サイパン島のグロット

アメリカ合衆国の自治領の島、サイパン島。北マリアナ諸島の首都のある島である。第二次世界大戦中末期、激しい戦闘の末に多くの犠牲者を出した島である。現在でもバンザイクリフなどの悲惨な戦争の爪痕があちこちに残されている。今回は、このサンパン島のダイビングスポットグロットでの体験を『潜り方編』『エア切れ惨事編』の二編に渡り語ろうと思う。

世界中のダイバーを魅了するサイパン島のグロット

日本からサイパンまでの飛行時間は3時間30分。比較的近く、料金的にも優しいのも魅力的な島である。何より、今回の目的は有名ダイビングスポットのグロットに潜ることだ。グロットは、サイパン島の北西部に位置し、大きな洞窟ポイントで有名である。地形派ダイバーにとっては、絶対に見逃せないポイントなのだ。サイパンの中心地から車で約30分走ると、“GROTTO”を書かれた門がお出迎えしてくれる。駐車場や展望台も整備されていて、さすがは有名ポイントといった感じである。元気いっぱいではしゃぎまわっていたのは、この時まで。写真を撮るならこの元気なタイミングで撮っておくことをお奨めする。そして、最初の難関“グロット名物”の116階段が待ち構えていた。

サイパン島グロットの116階段

サイパン島グロット最初の難関116階段

聞いてはいたけど、知ってはいたけど、やっぱりタンク背負って階段をくだるのね、というのが116階段を目の前にした最初の正直な気持ちである。階段の高さがまちまちで、非常に降りにくい。しかもタンクやウエイトを合わせたらかなりの重さで重心が取りづらくフラフラしてしまう。なんとか手すりを握りながら腰を曲げ一段一段両足を着いて階段を下りた。まるでお婆ちゃん歩きだ。このままタンクごと転げ落ちたら痛いだろうな、いや、死ぬな、と時折大参事を妄想したりもした。私のお婆ちゃん状態を見た男性ガイドさんが途中からフィンとマスクを持ってくれたので、両手が自由になるぶん手すりが持ちやすく歩きやすくなった。華奢な女性や小柄な女性は、くれぐれも気を付けて、息を整えながら116階段を下りることをお奨めする。

断崖に囲まれた青く澄み渡るサイパン島グロットの天然プール

サイパン島のグロットは、マドック岬の先端から波による浸食によって洞窟ができ、陸地に海水が洞窟から流れ込むようにして天然のプールを作っている。116階段を下ると、この青く澄み渡った天然のプールが出迎えてくれる。そして、大きくゴツゴツとした岩を歩き、エントリーポイントへ。ここも、階段同様なかなかの恐怖だ。足を滑らせたら、海面まで届かず、下の岩へお尻からエントリーしてしまう。かなり危険だ。エントリーポイントの岩の上から下を覗き込むと、海面まで2m近くある。「え?高い!」と一瞬思ったが、116階段の後で暑くて汗だくだったため、ウキウキで天然プールへジャイアントスライドエントリー。岩にタンクをぶつけそうだったのとウキウキ度で、歩幅は通常より2割増し。光り輝くエメラルドグリーンの透明なプールはもちろん海水だった。海面から眺める切り立った断崖絶壁に圧倒され、潜降までの時間、思いっきりこの絶景を堪能した。

サイパン島<strong>グロット</strong>の天然プール” width=”481″ height=”319″ class=”alignnone size-full wp-image-744″ /></p>
<h2>サイパン島グロットの洞窟から外洋へ </h2>
<p>天然プールを潜降し、洞窟内を潜行すると水深22m付近に外洋に繋がる3つの穴があった。外洋から差し込む大きな光が穴から洞窟に差し込み、洞窟内にいると、青く光る大きなステンドグラスが3つあるように見えるのだ。ダイナミックに削られた洞窟の紺碧の海に、限りなく透明なブルーの光を背にしたダイバーの姿があまりにもちっぽけで、人間の無力さを感じずにはいられなかった。自然の力が創造するこの美しさには、神の力さえ及ばないような、そんな気持ちにさせた。<br />
外洋へ抜けると、色鮮やかなトロピカルフィッシュやギンガメアジの群れが出迎えてくれた。トロピカルフィッシュは、“THE南国ダイビング”を満喫させてくれ、洞窟を抜けるまでのダイビングとは違った演出をしてくれる。ギンガメアジの群れは、進行方向を変える度に銀色の光を煌めかせ、群れが一匹の大きな生き物のように見えた。美しさと迫力に圧倒され、世界中のダイバーが憧れる有名ポイントであることを改めて確認した。<br />
この時はまだ、再びこの洞窟へ戻ってくる際に起きる惨事など誰も予想していなかった。次回は、<strong>グロット</strong>で起きてしまった<a href=エア切れ惨事について語ろう。

Angelique by
航空会社の元客室乗務員。現在、ライターとして活動中。 幼い頃に海中映像に心を奪われ、PADIオープンウォーターダイバー取得。 リゾートダイバーとして世界の海を渡り、8年のブランクを経た後、ダイバーとして復活。現在では、沖縄・四国・和歌山を中心に多くの趣味の合間にダイビングを楽しんでいます。お気に入りのダイブスポットは沖縄県宮古島。陸でも海でも洞窟が大好きな地形派ダイバーです。
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