私はダイビングを始めてもうすぐ20年になる。友達を誘ってダイビングに行くこともあるが、たいていは1人で行く。一人旅、とりわけダイビングでの一人旅行はとても楽しく、ある意味友達と行くより満足したものになる。その理由をいくつか書こう。「一人でダイビングに行ったら楽しめるかな?」と不安な人は安心してほしい。きっと充実した旅になること間違いなしだ。
ダイビング中は水中にいるため人の声も聞けないし自分がしゃべることもできない。そもそも、友達と一緒に行っても、その場で感動を声に出して分かち合う事は難しい。せいぜい目配せしあう程度だ。また自分が地形派でも同行した友達がマクロ好きであるならば、行きたいポイントも異なるし、一緒に潜っても感動する場所が違う。もちろん海から上がった時に、「あのクマノミかわいかったね」とか「ウミガメがいた!」なんて感想を話し合えるのはとても良い。だが、最近ではブログにアップしたりSNSに投稿したりすることで本当に伝えたい人や興味を持ってくれている人にすぐ伝わるようになってきた。結局ダイビングは自分自身の目的を一人で楽しむほうが満足度が高いのだ。
ビーチダイビングの場合は、重たい機材を背負って岩場を歩くこともあるので、とてもワイワイ話しながら歩く事はできない。転ばないよう足元を見ながら、エグジット後の体の重さを感じながらの岩場歩きでとてもおしゃべりする気分にはなれない。
ボートダイビングの場合は、ボートのエンジンの音がうるさくて人の話が聞こえずついつい景色を眺めてみたりする。さらに人と話すために横を向いたり近くを見たりしていると酔ってしまう。ブリーフィングの際に聞くのも一生懸命になるし、機材のセッティングも一生懸命やる。友達がいたほうが楽しいシーンが少ないのだ。ダイビングは楽しいが命の危険があるレジャーだ。一人の方がむしろ集中して準備をすることができるのでふざけあったりしないほうが安全だ。
ダイビングショップでは、固定客を捕まえるために夜は楽しいイベントを行うことが多い。その日参加したメンバーを呼んで飲み会を開いたり、飛行機搭乗日はみんなでどこか遊びに行ったり、一人参加でも充分楽しむことができるのだ。また最近ではオプショナルツアーを紹介してくれるショップもあるため、離島に行ったり、観光地を巡ったり、一人で何をしたらいいかわからない人には強い味方になる。できる事なら同じショップに何度も通って顔なじみになっておこう。そのほうがショップ側としてもスキルを把握してくれるので安全なポイントを選んでくれたり、多少無理を言っても聞いてくれるようになる。
ダイビング旅行は、どうしても長期の休みを取るようになるため、友達と休みが合うことが少ない。友達が行けないからといってダイビング旅行を中止にしているといつまでたってもなかなか行けない。そんな時は思い切って一人だけで出発してみよう。一人で寂しい人は、現地で友達を作ればいいし、一人が寂しくない人は、むしろ孤独を楽しめばいい。一人で居酒屋に行ったり、宿にこもってみたり、楽しみ方はいろいろだ。私は最初こそ観光に出かけたが、何度目かになるとホテルでブログを書いたり水中で撮った写真を眺めたり、ホテルから出ることが少なくなってしまった。シェアハウスや民宿のようなところに泊まるとリビングには誰かが必ずいて、話相手になってくれるし、宿でも友達が出来て焼肉をしたり一緒に遊びに行ったりもする。一期一会を楽しめるのも一人ダイビング旅行の醍醐味なのだ。