ダイビングでつながる世界

ダイビングvs海外料理教室~サムイ島への経由地バンコク編~

バンコクでグリーンカレー

前々回前回に引き続き、今回はサムイ島から日本への経由地バンコクで体験した料理教室について語ろう。

海外の料理教室という初の楽しみ

妹の『海外の料理を習ってみたい』という要望を満たすため、サムイ島で料理教室を探したのだが、スケジュールの都合が合わず、経由地バンコクでタイ料理を学ぶことになった。バンコクには日本語を話せるタイ人の先生も多くいて、スケジュールも合わせやすい。サムイ島にも料理教室はあるので、興味のある方は早めに予約を入れておくことをお勧めする。私は、ダイビング目的ではなく海外旅行に行くこともあるのだが、海外の料理教室で学ぶという楽しみ方は初めての経験だった。

ダイビングの講習と似た“学ぶ楽しみ”

予約したタイ料理教室はバンコク中心地から電車で40分。大きなキンピカに光る金色の門の豪邸だった。どうやら自宅と教室を兼ねているらしい。私と妹の2人の生徒に対し、タイ人の先生も姉妹の2人。スタッフの方も1人居て、洗い物などを担当してくれた。日本で料理教室に行くと、大抵洗い物、後片づけまでを生徒が行うのが普通だが、ここでは料理を学ぶことだけに集中させてくれる。大きな窓ガラスから光が差し込む美しいキッチン。大きな作業台の上には、見たこともない香辛料や野菜が綺麗に並べられていた。新しいことを学ぶ時は、いつも心がワクワクする。最初にダイビングスクールに訪れた時と同じだ。海外での料理教室は、いつもとは違った環境で、初めてのことを学び、味覚で感じ、それを誰かと共有する楽しみがある。感動を誰かと共有する点では、毎回のダイビングに共通するものがある。私と妹は、女子力アップのための料理教室だったが、海外での料理教室は男性にもチャレンジしてみて欲しい。カップルや夫婦で行くと、共同作業でさらに愛も深まるだろう。

今回のタイ料理食材

グリーンカレー食材
教えてもらうタイ料理は、悩んだ末“グリーンカレー”にした。本場の“グリーンカレー”を習いたいというより、食べたい気持ちが先走っていたような気もする。日本で作ったことはあるが、すでに全てがペースト状になった調味料を使用するしかない。日本のタイ料理専門店へ行ったとしても、そもそも日本には限られた食材や調味料しかないので、現地の味とは少し違うらしいのだ。
日本で見かけない食材としては、“こぶみかん”という、緑色のみかんにイボがいっぱいついた形をしたものがあった。“タイ生姜”は日本の生姜とは形が全く違い茎みたいな形をしていて、みじん切りにして使用した。また、“カピ(khapi)”と呼ばれる小エビを発酵してペーストにした調味料があった。カピを味見すると、少し塩辛く、海の味噌といった感じで、味見が止まらいほど美味しい。

本場の“グリーンカレー”のお味は?

出来上がった“グリーンカレー”はタイの陶器“ベンジャロン焼き”に盛り付けた。“ベンジャロン焼き”は金色をベースに色鮮やかなカラフルな色が散りばめられた器である。少し、大袈裟な感じの陶器ではあるが、何ともタイらしい気品がある。肝心の味は、まろやかな優しさの中に辛味があり、やはり日本で食べる“グリーンカレー”とは全然違って本当に美味しかった。作った自分達を自画自賛するわけではなく、本場の食材で作る現地の料理は、本物の美味さなのだ。
 先生と色んなお話をした後、連絡先を交換し、お別れの時間になった。ダイビングで出会った人達とも、お別れの瞬間はいつも少し寂しい。繋がる縁もあるが、それきりになってしまうこともある。私と妹は、出会えたご縁に感謝しつつ、お別れを告げた。

人生で忘れられない感動をいくつ重ねられるのか

グリーンカレーの材料
妹の強欲から始まったサムイ島へのダイビング旅行だったが、海外での料理教室という思わぬ楽しみを見出してしまった。ダイビングを始めた頃、行きたい場所が陸地だけでなく、海の中のポイントまでにも広がり、生きている間にどれだけ潜れるのかという気持ちになった。料理も人間の文化の数だけ存在する。時には、お店で味を楽しむだけではなく、料理を学ぶことで、その国やその国の歴史を学んでみるのも良いだろう。そこには、ダイビングと同じ、人との関わりや感動が必ず存在するはずだ。

Angelique by
航空会社の元客室乗務員。現在、ライターとして活動中。 幼い頃に海中映像に心を奪われ、PADIオープンウォーターダイバー取得。 リゾートダイバーとして世界の海を渡り、8年のブランクを経た後、ダイバーとして復活。現在では、沖縄・四国・和歌山を中心に多くの趣味の合間にダイビングを楽しんでいます。お気に入りのダイブスポットは沖縄県宮古島。陸でも海でも洞窟が大好きな地形派ダイバーです。
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