ダイビングは楽しい。海の中でまるで浮いているような感覚は、体験してみないと分からない。イルカやカメなどと一緒に泳ぐことだってできる。透明度の高い海ならば感動もひとしおだ。
しかし潜水時間も限界となり、ビーチやボートに戻って来たときに、あれ?と気付く。カメラのカバーが、ない。コードで繋がっていたはずのカバーがないのだ。ダイビングに夢中になりすぎて、どうやら海の中で落としたらしい。
海の中にはそんなダイバーの落とし物が結構ある。優雅に泳いで海の景色に感動していると、うっかり落とし物してしまう可能性は誰にもでもある。
カメラやライトといった器材は、カラナビなどでBCDに取り付けたり、ポケットに入れてその都度取り出して使う。固定してない状態で使い手元が狂って落としてしまうのは明らかに不注意だが、取り付け器具などの不備で気付かない内に落としてしまうこともある。例えば、カラナビの接続部分が壊れて落とす場合だ。また、カラナビの延長コード、フィンやゴーグルといったバンドで装着する器材も、素材の劣化やコードは岩などでこすれて切れることがある。器材のメンテナンスが大切なのは、こういう落とし物をしないためでもあるのだ。
お気に入りの器材を大切に使うのは感心するが、どんなに丈夫な器材でも劣化はするので、接続部分のゆがみ、コードのほつれやバンドの劣化を感じたら、なるべく早く買い換えた方がいいと思う。
ボートダイビングでは、ダイビングが終わって船上に上がる前にフィンを外してハシゴを登る。その際にフィンを落としてしまう人が多い。素早く回収できれば一安心だが、できないこともある。ボートの停船は比較的水深のある場所が多いので、落としてしまったら回収が難しい。沈みゆくフィンを見送るしかなかったりする。
また、ビーチダイビングのときでも波に流されたりする。フィンはその形状もあって波に持ってかれやすいので、外すときには落とさないように気を付けて欲しい。
カメラやライトはカラナビの重量オーバーでコードが切れることもある。浮力があるからと安心していると何かの拍子で落としてしまうので注意が必要だ。
海底まで潜ったときに辺りを見渡してみて欲しい。私は、カメラのカバー、ダイビングベル、指示棒といった、小さめのものを多く見かけた。ガイドやバディが気付いて拾ってくれることもあるが、こういった物は陸に上がって初めて気付くことが多い。ダイバーの器材だけではなく、誰が捨てたのか空き瓶や空き缶の類いもゴロゴロ転がっている。
ダイバーが捨てたのではないにしろ、海にゴミを落とすなどもってのほかだし、ダイバーの落とし物も景観を損なったり、生態系に影響しないとも限らないので、もし見つけたら可能な限り回収するのがいいと思う。
器材の取り付けや海の中での利用、フィンなどを外すときにはしっかり持って使うことで、落とし物は減らせる。落としたがために次のダイビングができなくなったり、再度購入しなければならなくなるので。軽器材、重器材以外のアクセサリー類のメンテナンスやチェックは、日頃からしっかりやっておくようにしたい。
始めに書いたカメラのカバーを落としたのは、お察しの通り私だ。ビーチエントリー1本目を終えて、陸に上がったときに気付いて若干へこんだが、2本目エントリーしたときに偶然浅瀬で発見して今日はラッキーだと思ったのを覚えている。1本目でなくしたなら、2本目のときは海の中を楽しみながら落とし物捜しもすると案外見つかるかもいれない。とはいえ見つからないことの方が多いので、そもそも落とさないよう気を付けて潜って欲しい。