ダイビングショップでは、アドバンスドコースが終わるとレスキューダイバーコースを勧められることもあるかと思う。商業的には、ショップとしてはレスキューダイバーコースを受講してもらった方が良いのだが、本当にレスキューダイバーのライセンスは必要なのだろうか。
各団体によっても扱いが違うと思うので、ここではPADIを例にお話しを進めていこう。レスキューダイバーコースは、アドベンチャー・ダイバー(ナビゲションSP終了者)あるいはアドバンスドオープンウォーターダイバーコースの次のレベルのライセンスになる。参加前条件に、エマージェンシー・ファースト・レスポンス(EFR)プログラム修了者という条件もある。
レスキューダイバーコースの目的は、自分自身やバディのトラブルを未然に防いだり、実際にトラブルが起きたときにそれぞれのシュチュエーションで使えるテクニックを学ぶためのコースだ。
実際、レスキューダイバーコースを受講するとどのようなメリットがあるのだろうか。
コース中では、具体的に水中や水面での意識不明者への対応を水中からの引き上げ、意識不明者の器材を外し、陸上に引き上げた後のCPR(心肺蘇生法)までの一連の動きをマスターするためのシュミレーションをシナリオに沿って行う。
また、レスキューダイバーコースではそれなりのストレスの中で講習が行われることもあり、自分自身のストレスのコントロールはできるようになると思う。
レスキューダイバーコースにデメリットなんてあるのだろうか。
他人を救助するスキルをわずか2日間でマスターするのは、正直酷だと思う。商業ベースで考えると、効率はいいのだろうけども日数が足りなすぎる。正直、2日間の講習では実際には人を救助することはできないだろうと思っている。マスターしたかしないかは、担当するインストラクターの裁量で決まってしまうことになる。
同じレスキューダイバーコースを受講した人でも、かなりのレベルの差があると思っていい。
レスキューダイバーコースのライセンスを取得すると、中には自分はもう一人前というような素振りになる人もいる。これは、かなりのデメリットだと思う。
これは、私の持論だがレスキューダイバーコースを受講した方が良い人は、その後プロの資格であるダイブマスターを取得したり、また、インストラクターの資格を取得したいと考えている人は受講すべきだし、受講しなければダイブマスターコースの参加前条件をクリアすることはできない。
もう少し突っ込んで言うと、レスキューダイバーコースをなくして、救命処置やレスキュースキルはダイブマスターの準備コースで教えて、自身のトラブルやバディのトラブル処置、トラブルを未然に防ぐ方法などはアドバンスドで教えるくらいの方がいいのではないかと考えているくらいだ。
それくらい、レスキューダイバーコースは重みのあるライセンスだと私自身は思っている。
私としては、レスキューダイバーコースは、商業的に取得しやすくするのではなく、もう少しコース内容を厳しくして客観的に合否を判定する規準が必要だと思う。規準に達しなかったら、再試験にするくらいが丁度いい。
レスキューダイバーというくらいだから、実際に事故があったら人を助けなければならないのだから。
レスキューダイバーのライセンスを取得した人の中で、実際に救助出来る人は何人居るのだろうか。
今回は、持論をだいぶぶつけてしまって熱くなりすぎたようだ。少し頭を冷やそう。