前回までは、ショップの選び方や見極めるポイントを紹介してきたが、今回は一歩踏み込んで、初級ライセンスの料金の秘密を紹介しよう。
ダイビングを趣味として始めようとすると、まずは初級ライセンスを取得することになる。皆さんは初級ライセンス取得に費用はいくらかかっただろうか?安い方で2万円前後、高い方で5万円前後だと思う。ちなみに初級ライセンスの内訳は、
・学科講習(2?3時間ほど)
・プール講習(4時間ほど)
・海洋実習(ビーチダイビング4本分)
・レンタル器材
・ライセンス発行料
が一般的な内訳になっていると思う。そして海洋実習当日に、現地サービス施設利用料やお弁当代などがかかって、当日支払いで3,000円?5,000円が別途でかかってくると思う。ショップによっては内訳は当然異なってくるので、主に上記のような内訳になっていると思っていただきたい。そうなるとトータル金額で言うと、申し込み料金と、当日支払い分などを考えると、トータルで4万円前後が相場になってくるだろう。では、初級ライセンスの料金に込められた秘密とはなんなのか?
トータルでかかった費用から、海洋当日分の費用を差し引くと、およそ3万円前後になるのだが、この「3万円」がとても重要なのだ。ダイビングはお金が嵩む趣味なのは周知のことだが、初級ライセンスの次の中級ライセンス取得や軽器材、スーツ、重器材とフル器材も合わせて購入すると考えた場合、総額はおよそ50?60万ほどになるだろう。今回は分かりやすく60万と設定しておく。貯金をしっかりしてきた方なら、現金一括での購入は可能だろうが、ダイバーは分割・ローンを組んで購入している方が多いはずだ。分割回数もだいたいが2?3年(24?36回)で組むダイバーが多い。そしてボーナスが支給される方なら、ボーナス払いも組み込め、実質の支払い回数は少なくなる。では、ここで先ほどの60万を24回、36回で購入して分割を組むとした場合の1回の支払い料金は、
・24回払い → 25,000円
・36回払い → 16,666円
となる。金利計算は今回省いている。この金額に、当日かかる費用(5,000円)を上乗せするとどうなるか察しの良い方は既にお気づきだろう。
・24回払い → 25,000円 + 5,000円 =30,000円
・36回払い → 16,666円 + 5,000円 =21,666円
先ほど重要と言った金額「3万円」に近づくのである。ダイビングショップは、初級ライセンスの申し込み段階から、その先の中級ライセンスや器材販売も見据えて、初級ライセンスを「3万円」で販売しているのが、初級ライセンスの料金に込められた秘密なのである。中には、定価7万円をキャンペーン価格として「3万円」で販売しているショップもあるぐらいだ。正直、初級ライセンスだけの販売では、ダイビングショップの利益は全くない。ダイビングショップが利益を確保するには、その先のライセンスや器材の販売が必須になっているのである。今回は業界の裏側を垣間見る内容だったので、同業者から批判の声が上がるかもしれないが、ダイビング業界をクリアにし、ダイビングをしたいという方にも業界を理解して、通うショップさんを応援してもらえるように、今後もライセンスの定価や器材の入り値などについても触れていきたいと思う。次回は「講習あるあるトラブルと対策」について紹介していく。