ダイビングオーシャンブルー

ワイルド&ダイナミックな自然を楽しむ屋久島ダイビング

日本初の世界遺産として登録された一つ、屋久島。
緑豊かな自然と山が有名だが、実は海もすごいのである!
海底から隆起した地形は日本一の魚種と魚量を誇り、ポイントや深度ごとに、様々な表情を見せる。
ほとんどのポイントでウミガメに遭遇し、ピグミーシーホースなどのマクロ系から、ロウニンアジ等のワイド系までが非常にコンパクトに分布しているため、海岸線をほんの数km移動しただけで、がらりと様相が変わるのだ。
もちろん、ファンダイブの後に屋久杉などの地上の自然を楽しむプランを設定しているダイビングショップも多いので、一度は訪れたい場所だ。

屋久島の焼酎がうまいと言うものだから・・・

「姐さん!屋久島行こう!うまい焼酎あるよ!」

という言葉にまんまと乗って、屋久島ツアーに参加したのは、まだまだ屋久島がダイビングスポットとして有名になる少し前の頃だった。

「俺より先にGT(釣り人用語でロウニンアジのこと)見たら許さん!」

という釣り好き課長に有休届けを出し、周囲もまだ行ったことのない屋久島へと向かった。

関東方面からであれば、一旦鹿児島空港を経由し、空路で屋久島入りすることも可能。
しかし、ここは屋久島への期待を高めるためにも、ぜひ鹿児島港から定期フェリーに乗り込んで欲しいところ。時間を気にする方には、高速船もあるので問題ない。

私とダイビングは酒がセットになっているのか、毎回ツアーメンバーのほとんどが酒豪揃いになってしまう。
もちろん、地元からワゴンで出発してから、車中は延々と宴会状態。フェリーに乗ってからも酒宴は続く。とはいえ、同じ九州とはいえ、陸上移動と船上移動にほぼ半日かかるため、当日のチェックダイブがない場合のみである。
(初日にチェックダイブがある場合は、禁酒のこと、念のため)

屋久島は知名度的には断然登山が有名なため、フェリー客の半分以上が登山服で占められる。そこに、相変わらず、Tシャツ・短パン・ビーサンのみの一行が加わるので、違和感半端ない。

フェリーは鹿児島港から、ほとんどの観光宿泊施設がある宮之浦港に到着する。
リッチに宿泊されたい方は尾之間あたりにおしゃれなホテルがあるので、そこを予約すればいいかもしれない。もちろん、フリープランでの屋久島ツアーも調べて頂ければ、リーズナブルに移動&宿泊できるはずだ。

手付かずの自然、野趣溢れる海に括目せよ!

海の中の魚の群れには正直、今まで潜った中でもTOP3に入る程驚いた。

周囲に島影のない屋久島では潮流が刻々と変わるため、予定していたポイントに入れないことも多いというのも、期待度を挙げる材料だ。
大物狙いなら島北部の観音崎、元浦、タンク下、お宮前、横瀬など。
マクロ好きには島南部の栗生や尾之間がオススメ。

ショップ随一のカメラ派で、ダイビング雑誌主催のフォトコンテスト常連の『師匠』が、栗生のタイドプール(まだエントリー前)で

「僕、ここで1本行けます!」

と言い切った程だ。

大物&魚の群れ大好きの私のオススメは、永田灯台下。
逆ドリフトという流れに向かって泳ぐ、なかなかにスキルを試されるポイントで、瀬の切れ目と切れ目の間は、全力で泳いでも、あっという間に20mほども流されてしまうようなハードな場所だ。
しかしながら、それだけの苦労をして出会ったロウニンアジは、現地ガイドとショップイントラが穴から追い込んだ時に、本当に耳元で

「ドン!」

と音を立てて通り過ぎていった。
私の少し上にいたバディが

「さっきのロウニン、マジで姐さんと同じ大きさあった!真横通っていった!」

と大興奮していたので、mオーバーだったのは間違いないだろう。

と、いうわけで、「先に見ちゃいました、課長♪」と、エキジット後、勤務中の課長にわざわざ電話してキレられたのもお約束なのである。

アフターダイビングは地上の自然を堪能。濃い緑、美味しい水、どれも大満足!

屋久島は「一月に35日雨が降る」と呼ばれるほど、雨の多い場所として知られる。
とはいえ、1日中雨が降っているわけではなく、平地ではスコール程度の雨がざっと降るくらいなので心配なく。
時期がよければ、天候も問題ない。気温も沖縄ほど本土より高いわけでもなく、ほぼ通常の服装で問題ない。
だが、せっかく屋久島まで来たのであれば、縄文杉とは言わずとも、屋久杉の威厳を見たいもの。
さすがに縄文杉まで行ってしまうと気圧の問題が発生してしまうので、白谷雲水峡で軽いリバートレッキングをオススメする。縄文杉ならぬ、弥生杉が出迎えてくれるので、それだけでも大満足できるはずだ。

とにかく屋久島は自然の密度の濃い場所である。
そのため、今でも、時間が許せば、丸1ヶ月滞在して、海も山も堪能したいと思っている場所だ。
もちろん、帰りのワゴンの中では、タンクと焼酎の瓶が仲良く並んでいたのは言うまでもない。