ダイビングを始めると必ず実感できることだが、同じ感動を共有した者同士は、距離が縮まるのが早い。簡単に言うと友達になりやすい。船上で挨拶程度しかしなかった者同士が、1本目のダイビングを終えたとたん、急に親しくなることはよくある光景である。そんな中、恋愛に発展した経験のあるダイバーも少なからず居るはずだ。今回は、女性目線からダイビングと恋愛の話を語ってみよう。
特殊な環境が作り上げるドキドキ感
「ダイビングを始めました!いざ海へ」と言っても、「海の中で突然空気が出なくなったらどうしよう」「迷子になったらどうしよう」と不安が全くない訳ではない。ダイビングはルールさえしっかり守れば安全なスポーツなのだが、誰でも未知の世界へ踏み出す時は、不安や緊張が付き物である。しかし、このドキドキ感が恋のドキドキ感と錯覚し、恋の火種になることがあるのだ。所謂、よく耳にする“吊り橋効果”というものだ。
吊り橋理論:カナダの心理学者、ダットンとアロンによって「生理・認知説の吊り橋実験」によって実証されたとする学説。揺れる橋での緊張感を共有したことが恋愛感情に発展するとした説。By Wikipedia
ダイビングは恋に落ちやすい!?
海の中へ潜ってみたものの、身体が安定せずふらふら。焦れば焦るほど身体に力が入り、そして無駄にフィンを動かしてしまうもの。ダイビングを始めたばかりの頃は、自由に自分の身体をコントロール出来ず、この悪循環に陥ってしまいがち。そんな時に、そっと手を握ってくれる人がいたら?落ち着きや安心感を得られた経験はないだろうか。
看護師の世界では、握る・さする・なでるなどの身体的接触を“タッチング”と呼び、安心感を患者さんに提供する看護方法の1つとしている。非言語コミュニケーション(言葉を介さない会話)である“タッチング”は、会話することのできない海の中では効果絶大ということになる。安心を得ることで、自然と全身の余計な力が抜け、海の中での身体のポジションの安定が得られる。心と身体の安定感が得られてくると、少し上達した気持ちになってくる。そうすると、周りに泳ぐ魚や地形、太陽が照らす水面を眺める余裕すら生まれてくる。その瞬間、自己肯定感が増し、満足感で満たされるのだ。“タッチング”1つによって、全てが好転することにより、「あの人が助けてくれた」と実に単純な思考の経過を辿りがちになるのである。
女性の男性に守れたい願望
個人差はあるとは思うが、女性は少なからず「守られたい」という願望があるのではないだろうか。現代では命を守ってもらわなければならない危険性に遭遇する確率は低いものの、やはり女性は精神的な安定や経済的な支えを男性に期待していることが多いようである。長い歴史を振り返っても、男性は狩りや戦に出掛け、女性は男性に命を守られていることで、子どもや家庭を守ることが出来ていた。遺伝子なのか本能なのか、男女それぞれの潜在意識にあると言っても過言ではない。ダイビングにおいて言えば、初心者は特に、恐怖・不安・死の危険を脳内で作り出してしまいがちになる。この状況下で、男性が女性に寄り添って、さらに、男性が女性を褒め、女性の自己是認欲求を満たすことがあるならば、女性が恋の勘違いしてしまうのもわからなくもない。
ダイビングは、恋に落ちる心理的要因がたくさんあるスポーツと言っても良いだろう。一時のトキメキを感じたい方、恋人同士で愛を深めたい方、夫婦の愛を取り戻したい方、ダイビングを楽しんでみませんか?
Have fun romance with scuba diving!