意外と苦手な人が多い潜降
ダイビングは水中に潜らなければならない。当たり前のことなのだが、潜降がなかなかできなくて水面でジタバタする人は多い。BCDに空気を入れてエントリーをするわけだが、そこからが大変で、排気をしても沈まないと、ガイドなどに引っ張って沈めてもらうという、少々恥ずかしい状況になってしまう。
潜降は、大体水深4、5メートル辺りから始める。ボートの場合はそれよりも深いと思うが要領は同じだ。ポイントによっては、海面から海底までロープが張られていて、それを伝って潜降することもできるが、ロープがないポイントだと自力で潜降することになる。
潜降が上手くできるようになるにはどうしたらいいのか。ポイントは「呼吸」と「ウェイト」だ。
呼吸は止めずに深くゆっくりと
まずはBCDに空気を入れ、ビーチの場合は歩いて、ボートの場合は飛び込んでから潜降ポイントに向かう。
いよいよ潜降となったら、BCDから空気を排出しながら体を沈め、更にゆっくり息を吐いて吐ききっていくと徐々に潜降していく。呼吸が速いとなかなか沈まないので、もしここで沈まなくても慌てずに、深く息を吸ってゆっくり吐ききるを繰り返してみよう。それでも潜降できなかったら、ガイドやバディに引っ張ってもらうしかないだろう。
呼吸もばっちりできたのに潜降できなかった人は、もしかしたらウェイトが足りなかった可能性がある。また、すぐに海底まで沈んでしまう場合はオーバーウェイトかもしれない。次のダイビングの時に、ウェイトを調節しよう。
ウェイトは軽くても重くても駄目
適正ウェイトは、ウェットスーツやタンクの素材、器材の重さ、またダイバーの体重によっても違う。自分の適正ウェイトは数値で出すのは難しいので、本数を潜って感覚で判断するのが一番いいと思う。初海であればガイドやインストラクターが器材や体重から決めてくれるので、それを装備し潜ってみよう。ウェイトはログブックに記入しておくと、次のダイビングのときの参考になる。
適正ウェイトであれば、潜降もスムーズに行え、かつダイビング中もBCDのエアーの出し入れが少なくて済む。エアーの消耗が少なくて済むのだ。
オーバーウェイトだと、息を吐いた途端に急潜降してしまうし、中性浮力の調節のためのエアーをかなり消費してしまう。逆にウェイトが軽いと、潜降できなかったり、ダイビング後半でエアーが減ってタンクが軽くなることも影響して、体が浮きやすくなってしまう。
何本も経験していくうちに、自分の適正ウェイトが分かってくるはずなので、ログブックにきちんと記載し、次のダイビングの時の判断材料にしよう。
呼吸とウェイトの密接な関係
よく、息を吐いて止めてしまう人がいるが、呼吸の基本は、深く大きく吸ってゆっくり吐ききることだ。これは潜降だけではなく、中性浮力の調節などでも大いに役立つ。浮いたり沈んだりする人は、呼吸の際に息を止めてしまっていないだろうか。意識して呼吸をしていると、楽な姿勢でダイビングを楽しむことができる。
呼吸は陸上でも練習ができる。腹式呼吸の要領で、息を深く大きく吸って、ゆっくり吐ききるを繰り返しやっていこう。
また、ウェイトとのバランスも大切だ。深い呼吸ができていても、ウェイトが重ければ沈んでしまうし、軽ければ浮いてしまう。このような状態だとダイビング中に疲れてしまうし、エアーが消耗し早々と切り上げなければならない。これではせっかくのダイビングが楽しめなくなってしまう。
初めのうちは慣れないかもしれないが、本数潜れば自分の適性ウェイトが分かってくる。その上で正しい呼吸をしていれば快適に楽しく潜ることができるはずだ。
人間の肺は浮き輪のようなものなので、呼吸によって空気を出し入れし、最適な姿勢を保つ。深い呼吸と適正ウェイトを知ってダイビングを楽しんでもらいたい。