ダイビングオーシャンブルー

ダイビングのバディから一生のバディへ

今回は私の知り合いの話をしよう。ダイビングを通じて、結婚に至ったある幸せなカップルの話である。このカップルの結婚に至るまでのストーリーは、周りの人間の中で語り継がれている素敵なラブストーリーなのである。

好きになったのは女性インストラクター

ある男性が一人の女性に恋をした。好きになった彼女はダイビングのインストラクター。彼女とダイビングを一緒にしたいがために彼はダイビングのランセンスを取得した。これで一緒にダイビングが出来ると思っていた矢先、彼女はダイビングのインストラクターを仕事にするため、沖縄に旅立ってしまった。

彼女の優しく明るい性格に惚れぬいていた彼は、彼女を諦めることはできない。遠距離恋愛となった彼氏は足しげく沖縄に通い詰めることになる。いつか戻ってきた時にプロポーズをしようと思っていたものの、彼女は沖縄の海に魅せられ、「帰れない」と言い出した。彼と彼女を知る誰もが、ハッピーエンドを諦めていた。

しかし、彼は諦める気持ちなど微塵もなく、新たな策を考え出した。

海中で愛を誓おう作戦

「そうか、帰れないのか」と思った瞬間、彼は別の新たなスイッチがオンになる。
「じゃあ、彼女の好きな沖縄で、彼女の好きな海の中でプロポーズをしよう」
なぜそのスイッチがオンになるのか、疑問に思う人の方が多かったに違いない。
 
彼女の大好きな沖縄の限りなく透明なブルーに囲まれて、大好きな彼女へのプロポーズ。どこまでも彼女の笑顔を大切にする献身的な愛である。そこから、彼のプロポーズ大作戦が始まった。

思いがけないテレビ企画

この彼の無謀なチャレンジに食いついた、あるお笑いテレビ番組が、彼のプロポーズを後押しすることになった。彼は番組の力を借りて、勢いでOKさせようというような姑息な男ではない。おそらく、周りの人間が面白がって取り上げさせたのだろう。もしくは、駄目な結果を予測して、皆で笑ってあげようという、周りの人間なりの配慮や思いやりだったのかもしれない。

プロポーズのお返事は?

ダイバーなら、海の中のプロポーズをイメージした時、どのような光景を思い描くだろうか。きっと、ダイバーの彼にも彼なりのイメージがあったに違いない。しかし、番組の企画スタッフにダイビングしながら撮影できる者がいないということで、水深1m以下の所でプロポーズをさせられることになった。水深1m以下といえば、普通に子どもの海水浴の水深である。沖縄の限りなく透明なブルーに包まれてのプロポーズとは程遠く、波で巻き上げられた砂の中でのプロポーズ。浅瀬で四つん這いになり無理やり海の中に身体を沈めている状態。もはや、中性浮力も何もない。そして、ついに海中でのプロポーズ。そして、彼女からのハンドシグナル。答えは、駄目かとおもいきや・・・
まさかのOKサイン!!!

浅瀬の海中で、彼女を抱きしめることも出来ずに、思わず立ち上がり彼は泣きながらガッツポーズ。一方彼女は大爆笑で満面の笑み。幸せな夫婦の誕生の瞬間だった。彼らしくもあり、彼女らしくもある画だった。放送を見ながら、彼や彼女を知る誰もが心がほっこりしただろう。もちろん私もその一人だ。一生のバディは、いかなる時も、互いの残量を確認しながら、同じスピードで共に前進していくことだろう。現在、彼と彼女は子宝に恵まれ、幸せに暮らしている。