本数も何十本か重ね、そろそろ初心者から卒業かな?と思っているそこのアナタ。本当に大丈夫だろうか?ここでは脱初心者と思えるスキルにどのようなものがあるか3つほど挙げてみた。ぜひ自身のスキルと比べてみて欲しい。まだまだだと思ったらもう一度基本に立ち返って練習してみよう。実はそのほうが上達も早いのだ。
何と言っても中性浮力
これはどこのショップに行っても言われることだと思う。中性浮力が取れないと急浮上したり、沈みがちになってフィンキックが増え疲労の原因となり事故につながりかねない。また、サンゴ礁の上を横切るときに中性浮力が取れないとフィンでサンゴを蹴って折ってしまうこともある。筆者がタイでダイビングした時、水中でサンゴに指でつかまっていたところオーストラリア人のバディにこっぴどく叱られてしまった。海外では中性浮力が取れないとお目当てのポイントに連れて行ってもらえないこともある。
適正ウェイトであることも重要だ。ライセンスを取った時点で、適正ウェイトが何キロぐらいかを教えてもらえるはずだ。もし教えてもらえなくても、ファンダイブの際ガイドに身長、体重、経験本数を伝えて大体のウェイトを聞けばよい。それ以降のダイビングについては自分で調整していけばよい。呼吸の際大きく息を吸って体が浮かぶ感覚があり、息を吐くと沈むのが分かるぐらいがよいと言われている。だが深度によって変わってくるので自分がよくいくポイントの深度で確認しよう。
中性浮力を身に着けるには、適正ウェイト以外に水中での正しい姿勢も心がけたい。初心者はどうしても立ち泳ぎになりがちだが、スーパーマンのように地面に並行して体を真っ直ぐにすることが重要だ。
スムーズな潜行
一番初心者っぽく見えるのが、もたつく潜行ではないだろうか?フィンファースト、ヘッドファーストどちらでもいいが、潜行したいときに潜行できることは重要なスキルだ。体力やエアを温存できるので、事故防止にもつながる。潜行が苦手な人は、ぜひ以下を試してほしい。
まず、BCのエアを全て抜き、呼吸を整えてから肺の空気を全部出す。沈めなくて呼吸が苦しくなっても、水深5mぐらいまでは我慢して身動きしない事。沈もうと体を動かすとどうしても浮力となってさらに沈めなくなる。耳抜きのみに集中していればやがて沈み始める。ヘッドファーストの際は力ずくでフィンで潜行してもよい。だがこれだと集合場所についた時点で息切れしていることもあるので、短時間でも呼吸を整える時間があるような時だけにする。
またアクセサリーを極力減らすことも重要だ。ダイビング用のアクセサリーは万が一手から離れてもすぐに沈まないよう浮力が計算されているので、BCにいくつもつけていると沈みづらい。必要なもののみ持っていくようにしよう。
水深が浅いポイントの場合は潜行しづらいので、ウェイトを重めにすることも重要だ。潜行が苦手でダイビングを楽しめなくなるのは元も子もない。筆者は以前、潜行が苦手なダイビング仲間がボートに海底の石を持ち込み、潜行の時にその石を持ってスムーズに潜行するのを見て目から鱗だった。沈んでしまえばその石は海底においておけばいいのだ。もちろん環境保全の観点からそのポイントで拾った石ではあるが、工夫をしてダイビングを楽しむ姿勢はとても共感できるものだった。どうしても苦手な人はロープを伝って潜行すればよい。ロープでスムーズに潜行できるのならそれでよいのだ。
水中で冷静であること
初心者は水中で冷静さを欠き事故につながりやすい。逆に言うと、水中で冷静でいられればパニックになりにくく事故につながりにくいのだ。
ショップのインストラクタやバディに手伝ってもらえるなら、こんな訓練をしてみよう。もちろん自己責任で、必ず誰かに見守ってもらい安全確保して行ってほしい。
1.水中でマスクを完全に取りバディに手渡す。何回か瞬きをして、もう一度マスクをかぶりマスククリア
2.水中でフィンを外して、再度フィンを付ける
3.水中で逆立ちや宙返りをしてみる。また大の字になって仰向けになってみる。
「1」と「2」はわかっても、「3」を意外に思った人もいるのではないだろうか?実は頭を下にするとエアの通りが悪く、呼吸がしづらくなるのだ。このエアの通りが悪い状態に慣れておくと、パニックになりづらい。また、何かにぶつかったりして体制を崩したとしても、普段からこういった姿勢を水中で体験しておくと冷静に立て直せる。
これらの訓練の目的は、「水中で予想外の事態が起こっても、冷静でいるため」だ。冷静で正しい判断ができさえすれば、脱初心者は目前だ。