このサイトでも繰り返し語られている中性浮力。
もちろんダイビングを行う際には必須のスキルなのだが、こうしてこうしてこう!という絶対の法則があるわけではない。
こればかりは自分で勘を取らないと身につかないスキルだからこそ、様々な意見があり、結果、初心者ダイバーはどの意見が近道なのか、に惑わされてしまう。
そんな悩ましい中性浮力、どうしたら身につくのか一緒に考えてみよう。
実は私、200本超えダイバーなのに、中性浮力とれてません
正直に告白すると、200本を超えている私でも、きちんとした中性浮力が身についていない。
もちろん、ダイビング中の通常の状態、水面に対して水平に泳いでいるときは何の問題もないどころか、深度が変化しようがほとんどBCの操作も必要ない。肺がすでに潜水に慣れて、自然と浮力を調整できるようになったからだ。
BC操作をするのは、冬場のドライスーツの場合か、水面移動の場合程度。
きちんとした中性浮力が身についていないのが判明したのは、「慣れたポイント」で「身についた中性浮力」“以外の場所”で潜った際に明らかになった。
それは、沖縄や海外での「安全停止」が必要なポイントで指摘されて自覚したのだ。
200本越えと半分自慢気に言うが、実はその程度なのだ。
「普段と違う状況」「安全停止という状態」「その時の自身の状態」で、中性浮力というのはとてもデリケートに変化するものということに今更ながらに気づいた。
完璧な中性浮力を妨げる様々な要因
私の場合、ホームビーチと呼んでいる地元のダイビングスポットで潜ることが断然多い。
なので、ほぼ地形も覚えているし、深度も大体頭に入っている。ブリーフィングでコースを説明されると、あぁ、あのコースだな、とすぐに分かる。もちろんボートダイブではなく、ビーチダイブだ。
そのため、ポイントに対しての安心感と慣れがまず先にある。また、通常使っているのは10Lスチールタンク。5mmウェットであればウェイトは必要ない。これが私の“通常”の適正ウェイトだ。
この感覚でいわゆる「遠征」をしていたために、普段は必要のない「安全停止」でボロがでてしまったわけだ。
国内外の有名ダイビングスポットの場合、まずタンクはスチールではなく、アルミタンクであることが多い。そのため、いつもはつけないウェイトを念のために2kgつけるようにしている。
この時点で、「慣れていないポイント」「慣れていないタンク」「普段はつけないウェイト」の三拍子が揃ってしまうのだ。
これにプラスして、「ボートダイビング」「安全停止」の2強が加わるわけだから、安全停止の際に5mラインを守れないふよふよとした情けないダイバーを露呈してしまったのである。
完璧な中性浮力をつかむには、練習あるのみ!
200本も潜ってるのに中性浮力が完璧にできていない!!という現実を実際に映像で見てしまった(撮影しなくてもいいのに;;)からには、大きな顔して「200本ダイバーです!」とは言えない。
そんな悩ましい日々をすごしている中、ふと気がついた。
同じショップのダイビング仲間が時々不思議なことをしている。
岩棚沿いで何かの生物を観察する順番待ちの状態の時、少し離れた場所で、水面に対して垂直に腕組みをして「びしっ!」と停止しているのだ。
180cm越えの長身の彼が、黒のウェットに黒のフィンで「びたっ!」と停止している状態は惚れ惚れするほどカッコいい。
聞かなくとも分かる。
そんな、ちょっとの間に、彼は「完璧な中性浮力」の練習をしていたのだ。
もちろん彼はわたしよりもはるかに本数も多い。なのに、こうしたちょっとの間でも中性浮力の練習を怠らないのだ。
後で聞くと、腕組みは「無用のBC操作をしないため」「常にダイブコンピューターで深度を確認するため」なのだそう。フィンもまっすぐ揃えて動かさないのも、「フィンに頼ることを避ける」ためらしい。
初心者であればあるほど、中性浮力を取ろうとして、やたらにBCの操作をしてしまったり、フィンに頼ってしまう。その結果、急浮上の原因になったり、砂の巻上げを起こしたりする。
しかし、最終的に重要になるのは、自前の「浮き袋」、つまり「肺」の調整が大事なのだ。
それからというもの、彼に並んで同じように中性浮力の練習をするようになった。
もはや競争だ。
フィンを動かしたら負け、BCには頼らない。深度の上下は1m以内。細かい調整は呼吸で肺によって行う。
この方法は、安全停止を行う際が一番の練習タイミングなのだ。
そして、できるだけ定期的に海に通って、自分の感覚を掴むのがコツ。
かっこよく「びたっ!」と止まれる中性浮力を目指して、あなたも一緒にがんばろう!!