ダイビングをやっているというと、健康的なイメージがあると思うが、私の場合スタートからしてとても不健康な状態だった。
ダイビングを始める少し前、ウィルス性胃腸炎というものに罹ってしまい、半月ほどほとんど飲まず食わずの状態が続いて、10kg体重が落ちてしまった。当時は漠然とダイビングがやりたいと思っていたが、お金ないし時間もないしと、実際には行動を起こしていなくて、病気になったときは、これじゃダイビングなんてできないなと諦めてしまっていた。でも私は今ダイバーだ。そんな状態にもかかわらず、なぜダイビングなんて体力のいることを始めたのか。
病気をして体力も気力も萎えていたときに、道すがらダイビングショップのチラシをもらった。ずっとやってみたかったけど、今は絶対無理だと諦めていたが、通院していた医者がたまたまダイビングをやっていて、色々と話を聞いているうちに、ダイビングへの憧れが日に日に増していった。
ある日、まだ本調子ではなかったものの、思い切ってダイビングショップに行ってみた。そしたらなんと、その場で契約、器材購入までしてしまったのだ。今思えばショップのセールストークにやられた感はする。とても無謀だったし、器材だって決して安くなかったから軽率だったかも知れない。でも、講習や講習後のダイビングにおいてマイ器材で潜ることができたことはとてもプラスになったし、何よりもこんな自分でもやればできるんだ、という自信が付いた。
以降、毎月のように伊豆の海へ行き、ダイビングスキルを上げていった。今ではPADIのレスキューダイバーにまでなった。
もちろん、何の問題もなくダイビングができたわけではない。始めた頃は、タンクを装着したBCD約6kgを背負うのに、病気で消耗した体力では一人で持ち上げるのに一苦労だった。バディやガイドの助けでやっと装着できたものだ。ダイビングの装備は合計で20から30kg、全て装着してしまうと意外と重さは感じられないが、慣れないと重さがずっしりと体にのしかかった。海に潜り、海水を含むと更に重くなるので、陸に上がって装備を下ろすところまで歩いて行くのは本当に大変だった。
ダイビング始めたいけれど、体力がないからとか、泳げないからとか、そういうことで諦めてはいないだろうか。ダイビングは足にフィンを付けるので、少ない力で前に進むことができる。潜ってしまえば泳ぐという概念は捨てていい。足をバタバタさせていればいいのだ。
重要なのは、ダイビングをやりたいという情熱、そして海の危険性や器材の扱い方をしっかり学習することなのだと思う。そのためにダイビング指導団体がある。確かにCカードがなくても法律上ダイビングはできる。だが、ダイビングショップでタンクやウエイトを借りるとなると、Cカードの提示を必ず求められる。言ってしまえば、素人に貸し出して事故に遭ったら困るからだ。でも、Cカードは講習を受けたという証明になるので、ショップの方でも安心して貸し出すことができる。
体力のなかった私は、最初こそ不安だったものの、本数潜っているうちに一人でタンクを背負えるほどに体力が付いた。今まで躊躇していた時間がもったいないとさえ思うようになっていた。
ダイビングを始めたい人は、ダイビングショップに行ってよく相談してみて欲しい、不安であれば体験ダイビングもある。そこからスタートしてもいいだろう。体力がなくてもダイビングができる、私はそのことを強く訴えたい。