ダイビングでつながる世界

魔王とガウディに謁見!宮古島のダイビングスポット

ダイビングの魅力と言えば、まるで鳥になったかのように浮遊感を味わいながら、眼下の景色を眺められることや、宇宙にいるかのような無重力状態に似た体験を出来ることである。そんな人間の領域を超えた体験を、さらにダイナミックに演出してくれる宮古島のダイビングスポットを全2回に渡って紹介しよう。

宮古島のダイビングエリア

宮古島のダイビングスポットは、大きく分けて、

永良部・下地島エリア

八重干瀬エリア

宮古島東南エリア

の3つのエリアになる。宮古島本島はいくつもの小さな島に取り囲まれているため、本島以外の小さな島々の周りにも多くのダイビングスポットを有するのだ。
あらかじめ、ダイビングショップに目的のポイントやスキルも告げておくと良いだろう。時期によっては、行けないポイントも存在するため、予約の時点で確認しておくことも必要だ。また、その日の天候や潮によって潜行可能なポイントを決定するため、お目当てのポイントに行けないこともある。だが、安心して欲しい。宮古島には素晴らしいポイントが数多くある。必ずや、滞在中にお気に入りのスポットに出会えるはずだ。

アントニオガウディ

スペインの建築家アントニオガウディにちなんで名付けられたポイント、『アントニオガウディ』。ガウディと言えば、今も尚、建設中のサグラダファミリアを思い起こす人も多いだろう。この巨大な建物自体をガウディは楽器に見立てたという説もあるが、確かに、海の中のガウディも光と水が奏でるハープの音が聞こえてきそうなポイントである。もし、ここに建築家ガウディが訪れたなら、自然の建築技術に圧巻するのか、もしくは、自身が自然界を超越した建築家であると自負するのか知りたいものである。

サクラダファミリア

残念なことに、画像でアントニオガウディのダイナミックな迫力を伝えるのは難しい。360°見渡し、角度や深度によって、様々な表情を見せてくれるポイントだからだ。体験せずして、この地球のダイナミズムを感じることは不可能である。光と地形の演出によるブルーハートも顔を覗かせてくれるが、何といっても幾重にも折り重なった芸術的なアーチが独創的な世界観を堪能させてくれるだろう。それなりにダイビング経験を積んだ私だが、今でも印象深い思い出のポイントである。

魔王の宮殿

前回のお話で私の家族ダイビング旅行に触れたが、この時、家族の一番の目的はダイビングポイント『魔王の宮殿』に訪れることだった。当時10代だった従姉妹が「魔王いつ?」「魔王今日行く?」と島に到着した日からしつこくガイドさんに聞いていたのが、今でも印象に残っている。宮古島で一番有名なダイビングスポットと言ってもいいだろう。
魔王の宮殿へは、まさに異界の口へ吸い込まれるかの如く、一気に潜行する。潜行後、宮殿までの道のりには、狭いリーフの亀裂やアーチが、異界への侵入を拒むかのようにそびえ立っていた。アーチを抜けるとその先には、太陽のシャンデリアが光を降り注ぐ、宮殿のエントランスホールが出迎えてくれるのだ。
さらに、魔王に謁見するためには、宮殿深部へと繋がる暗い廊下を水中ライトの光を頼りに侵入しなければならない。侵入者の監視をするアオギハゼやデビルフィッシュの怒りをかわないように、いつもは騒がしい家族も厳粛な態度であるかのように見えた。辿りついた宮殿深部では、青のスポットライトが海底を照らし、ミナミハタンポの群れが舞い踊る幻想的な光景が目に飛び込んでくる。スポットライトは、まさに魔王の堂々たる威厳を放つ玉座を照らすかのようだ。

宮古島魔王のガウディ

海からエキジットした従姉妹は、思いを吐き出すかのようにただ一言、「凄かった」と言葉にした。言葉に出来ない感動は、体験した者同士でしか共有することは出来ない。とはいえ、同じ体験をしたとしても、感じ方は同じ家族でも皆それぞれ。10代には10代なりの感じ方がある。ダイビングを通じてコミュニケーションを図ることで、互いの感性を知ることができるところにも、ダイビングの素晴らしさがあるのだ。

次回も引き続き、宮古島のおすすめスポットを紹介しよう。

Angelique by
航空会社の元客室乗務員。現在、ライターとして活動中。 幼い頃に海中映像に心を奪われ、PADIオープンウォーターダイバー取得。 リゾートダイバーとして世界の海を渡り、8年のブランクを経た後、ダイバーとして復活。現在では、沖縄・四国・和歌山を中心に多くの趣味の合間にダイビングを楽しんでいます。お気に入りのダイブスポットは沖縄県宮古島。陸でも海でも洞窟が大好きな地形派ダイバーです。
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